ひより軒・恋愛茶漬け -42ページ目

小さなプレゼント

「ちいさなプレゼント」


雪が降っている。たぶん。
カーテン越しの夜の。
無音の。

思ったより、
厚い胸に手を這わせる。
この知らないオトコを起こさない
くらいに、そっと。



クリスマスイブに
スタバのカウンター席で
曇ったガラスの向こうの街を
ぼんやり眺めているオンナ。ワタシ。

隣の席に誰かが腰掛けて
こっちを見てるコトにも気がつかない。


そう
アイツのイマゴロしか考えられない。

「降りそうだね。」
声を掛けられて初めて気づいた
そのオトコに。
心でなる、警戒のベル。

でも、ちょっとアイツに似てる。

「ね、これ見て。」
笑いながら、指をさすオトコの
目の前の曇ったガラスには
オトコが指で書いた雪だるまとテディベア。
小さな吹き出しに
(ゲンキダシテ!)
(ヨケイナオセワ!)と書いてある。

「上手だね。」
つい笑顔をみせて
うちとけてしまう。

誰かに少し似ているだけの

そのオトコと。

「イラストの勉強してるんだ。」
「いいね。絵がうまいって。」
「そうかな。」
「うん。いいよ。わかりやすいよ。」
「なにが。」
「とっても、わかりやすい長所だよ。」

今のワタシが欲しいのは
わかりやすいってことだよ、と思う。

きっとアイツのイマゴロは、……。

「ウチに来る?」とオトコを誘っていた。
絵を描いてくれたオトコの指は
細くて長くてきれいで。
ただ、それだけのイブ。



翌日、朝の光がさしこむころ
自分の部屋のベッドで目が覚めると、

もう昨日のオトコはいなかった。

テーブルの上でワインの瓶が空になっている。
やけにお酒の強いオトコだった、な。
ほんの少しだけ頭がイタイ。

ああ、会話も肌触りも
夢のように消えてしまったな、と
ベッドから降りようとして気づいた。

オトコの残していったぬくもり。

優しいオトコだったのかな。じつは。

左足に並んだ5つの雪だるま。
右足には5匹のテディベア。

もう、勝手にヒトの
マニュキアを使って。

冷たいつま先に描かれた
知らないオトコ、からの

クリスマスプレゼント。


ゲンキダシテ!
ヨケイナオセワ!



街は、少しずつクリスマス色になってきましたね。
本格的な寒さは、いつになるのかな。

オト

「オト」

友人が経営している
ピアノバーへ行ったときのこと。
友人が紹介してくれたそのヒトは
高校の音楽教師をしています、と言いました。

好きな音楽や食べ物の話をしながら
2、3杯のお酒をいただいて帰ろうとすると
彼が私の部屋まで送ってくれるというのです。

夜もおそいですし。

私の部屋は、駅前のそのバーから、
小さな川沿いに20分ほど歩いたところです。
街灯があるとはいえ
いつも1人で心細く通る道を
オトコのヒトと並んで歩くのは
それだけで心が弾むような気がしました。
お酒のせいもあったかもしれません。

サキさんは、絶対音感ってごぞんじですか?

彼はゆっくり私と並んで歩きながら
急に、そう聞いてきたんです。

聞いたことは…ありますが、
詳しくはわかりません。

私がそう言いながら
彼の横顔を見上げると
ホンノ少し彼は辛そうに、眉間に皺をよせていました。

こんな、川の流れにも音階が聞こえてしまうのです。
静かな夜の闇の中にも
僕の耳は、かすかな音階をさがして、
いつもそれを拾ってしまうのです。
君に、その苦しさがわかりますか?

いかにも先生らしい口調だな、と
心の中で、少し可笑しく思いました。
私が何も言えず、ただ黙っていると

君の名前はいいですね。
サ・キ。
僕の好きなオトです。

そうですか。自分では、よくわかりません。

すると
彼は急に立ち止まり、私の顔を見つめました。
一瞬、ドキッとするくらい
優しい表情で
私の目を、鼻を、口を、耳を、
じっと見つめると、
正面から急に私を抱きしめ、
耳元に口を寄せて
ささやくような小さな声で
彼は繰り返しました。

サ・キ・サ・キ・サ・キ

心の中に
広がっていく不思議な和音。
ため息に似て、せつないオト。

サ・キ と何度も。
そのリズム。

かたくまわされた腕を、振りほどくことができずに、
彼の声がつくる音楽が
私に注ぎ込まれていくのを、ただじっと感じていました。

月のない夜の、
川沿いの暗い道で。



sakiさんのブログをヒントに、私の中に広がった話です。 
sakiさんのブログとは
全然カンケーのない話になりました。ごめんなさい。

でも、「サ」のオトってささやくためにあるみたい。
素敵な名前であることには間違いないですね!

初カレ

「初カレ」

高1の冬、
私にもやっと、初めての彼ができた。

あの日、学校帰りに
新しい店タンケンに行くキョウコたちと別れて
久しぶりに渋谷の街を、1人で歩いていた私。
とても大事な買い物があったから。

11月のおわりにユキの誕生日がある。
センスがよくて知的なユキは
私のアコガレ。トモダチだけど。

毎年、誕生日のプレゼントは
来年のカレンダーを
贈ることに決めている。
外国製のちょっとおしゃれで
変わったモノ。
決めていれば
迷ったりダブったりしないから。

今年はロフトで
気に入ったカレンダー購入。
もうハンズにはよらなくてもいいから
マツキヨでシャンプー買って、って
考えながら歩いてた。

その時、声をかけてきたのが
アキラ君だった。

「ね、ちょっと、話があるんだけど。」

え、誰だっけ。

知ってるヒトみたいに話しかけてくるから
立ち止まっちゃった。
ヒトの流れにさからって。

それから、なんだか恋の嵐にマキコマレ、
アキラ君とつきあうようになったんだ。

それでね、
今日、アキラ君に聞かれたの。
「クリスマスプレゼント、何がホシイ?」って。

キタ~!って感じだったけど、
嬉しくて、
舞い上がってて、
感無量で、
「何でも、いいよ。」って
言っちゃった。

でも
アキラ君、あきらめないで
「全然、思いつかないよぉ。
じゃ、ホシクナイモノは?」だって。

だから少し考えた。
「手袋。…とマフラーかな。」

だって。

アキラ君が私の手を大きな手で包んで
ポケットに入れてくれるのが好きだから。
冷たい風がビューっと吹いてきた時に
肩に手を回してぎゅっとしてくれるのも好きだから。

言えないけど。

「どうして?」って不思議そうに聞くアキラ君。

そんなに顔をのぞきこまれたら、
よけいうつむいちゃうよ、私。


  
とりあえず、更新。
体調のせいか、ねむくてしかたがありません。
明日、早起きしよう!

憎まれ口

「憎まれ口」

Dからの電話。
久しぶりだった。

いつ、旅行に行ってきたの、
何ヶ月ぶりかな、と
明るく矢継ぎ早に聞く私の声をさえぎって
どうしても今夜、会いたいという。

まあ、他でもないDだしね、
いいよ、じゃ、いつものレストランで
奥のほうに座ってるよ、と電話をきった。

大学の同級生だったDは証券会社で働いていた。
大学を卒業して4年目。
仕事が忙しいので
たまにしか会えない。
私はフラワーコーディネイトの学校に通いながら
知り合いの花やさんでアルバイトをしていた。

私たちはとても気の合う友人どうしだった。
恋人の相談もできる。
仕事の話もできる。
映画や本の話も。

私たちはお互いを知りすぎていて
兄弟のように感じていた。
だから周りの友人に
「あなたたちが、付き合えばお似合いよ」といわれても
その気には、
全然、なれないのだった。

その夜、会ったDは、ちょっと
いや、かなり不機嫌だった。
何故かは忘れたが
Dのヨーロッパ旅行の話もそこそこに
気がつくと、私はDに叱られていた。

オマエのここがいけない、とか
その言い方が破局をまねくんだよ、とか
その解釈は違うと思うね、とか
ことごとく、
小さなことまで
自分自身でわかってるってことまで

わかってるってばあああ、と
叫びたくなるまで
うるさく
つっかかってきた。

なんだよ、なんだよ。
Dと会えるのを楽しみにしてた私は
つい飲みすぎてしまい
店を出ると駅への道を
Dと並んでフラフラ歩きながら
シュゥン、としていた。
Dの口数もようやく少なくなった。

2人とも別々の方角の電車だから、
駅の改札で別れる。
そのとき、いきなりDは
鞄から15センチ四方くらいの箱を取り出した。

「あ、これ。忘れてた。お土産。」

じゃあ、また、と
私に箱を押し付けるように渡すと
さっさと自分の路線の方へ
Dは歩いていってしまった。

私はホームの灯りの下でその箱を開けた。
そこには
しんじられないくらい美しいカットの
ガラスのお城が入っていた。

なぜ、Dがこんなものを。
いつも
お土産は食べ物と決まっているのに。

そういえば
1度だけDに
ガラスのお城の話をしたことがあった。

こどものころ
ガラスの靴を王子様にとどけてもらう
シンデレラの話が好きだった。
私が王子様にもらうなら
ガラスのお城がほしい、と
ずっと夢見ていたんだ、といったのだった。

手のひらにのせて
あかりにかざすと
ほんものの虹のように光った。

Dったら…。

思わず私は笑っていた。
Dのきょうの憎まれ口が
きっと
これのせいだと気づいたから。

私とDの間に
いままで存在しなかった
甘くてロマンティックなモノ。

恥ずかしがり屋のDが
これを私に選んだ理由を
どんな風に説明してくれるのか
早く知りたい気持ちを抑えながら
ホームに滑り込んできた電車にとびのった。


 


 風邪気味でセキがとまりません。
 食欲がないので、
 痩せるかな~なんてぼんやりと考えていました。
 今度の週末には同窓会があるので
 やっぱり少しダイエットしたいのが、オンナゴコロ。
 4年ぶりの旧友との再会がタノシミだな♪

チャルメラ

「チャルメラ」

枯葉が舞い、
夜の空気が澄んでくると
遠くから
聞こえてくる音があります。

あたたかく 悲しげな旋律
それは チャルメラの音。

去年の冬、
主人も子供も寝付いた後の
静かなリビングで、
買ったばかりの本を読んでいた私は
その悲しげな音に誘われて
思わず外に出てみました。

音が消えた方向へ
急ぎ足で歩いていくと
大通りから1本入った
暗がりに
暖かい屋台の明かりが見えました。

そして、
その小さな明かりの中で
あなたに出会ったのです。

あなたは紺のスーツ姿で
これからタクシーで帰るんです、と
初対面の私に
くったくのない笑顔で話して

私は部屋着にコートを羽織り
サンダル履きで
化粧もなしで

油断していました。

あれから
何度か屋台で並んですわり
言葉を交わすうちに

心の奥にまで
あなたに
入り込まれるなんて思わなかった。

醤油ラーメン味がするよ
なんて おたがいさまです。

私のコートのボタンをはずして
あなたは
冷たい手を私の肌で
あたためようと して

幾晩も

結局 
怖くなって逃げたのは、私でした。

あれから、1年。

この冬 初めてのチャルメラの音が
今、遠くから聞こえます。

サンダルを玄関でそっと履くと
私は
音をたてずに ドアを…。

― つつまれる 夜の匂い。




  ラーメン占いさんが、初トラバしてくださったので
  ラーメンねたで書きました。
  ウチの近くでは寒くなるとチャルメラの音がきこえるんですよ。

  でもやっぱり私が1番利用するのは、焼き芋やさん!
  色気…かけらも、ありません。

天使

  「天使」

おとといから連絡が取れなくて
ドキドキしたよ。
嫌われたのかなって。

ケンから、
やっときたメールの返事は
「熱があって、外に出られない」。

まだケンの部屋に
行ったことなかったけど
前に教わった住所を地図で探して、たどり着いた。

イチオウ
私、女神役?
あ、それとも天使か。

ピンポンって押して
でてきたケンを見て驚いた。
ひげ ボーボーで
あご ゲッソリで
ヒサン。

「来てくれると思って…まってたよ。」
それだけ言うと咳き込んだ。
苦しそう。

まあ、寝てて、寝ててって。
頭冷やさなきゃ。
アイスノンも ヒエピタも 買ってきたよ。
おかゆもつくってあげるよ。
はじめてだけど。

なんか 私にもできるじゃん、天使。
買ってきた新しいエプロンもピッタリ。

テレビも音楽もついてない部屋は
ずいぶん遠くの街のオトまで聞こえるんだね。
私がお茶碗を洗うオトだけが ヒビク。
カチャ カチャ。

シンとして
急に、心配になって
ベッドのケンの顔をのぞきに行った。
そっと額に手をのせても
ケンは起きない。
頭を冷やしたせいか
気持ちよさそうに寝息をたてている。

きれいなケンの寝顔。
ヒサンでもきれい。
今は ひとりじめ。

ドラマで見たように
気づかれないで、ケンにキスしたかった。
でも、やめとくね。

だって
もしも風邪がうつったら、
枕もとの写真たてのなかで
ケンと並んで明るく笑ってるヒトが誰なのか
きちんとケンにきけなくなるから。

それがどんな話でも
優しく受け止められるように
それまで私は
女神か天使の気持ちのままで
いたいんだ。



  友人たちから催促電話。
  これから飲みに行くので、早めに更新しておきます。
  風邪気味なんだけど…。はやめに帰ってこよ。

  **************  

  ただいま。
  カラオケは喉が痛いので、帰って来ました。1時過ぎです。
  みんなでゲームをしたら、1番になって
  オールドをもらっちゃった。
  だから、もう飲めませんってば!

なきごえ

「しばらく会えないよ。」

 あなたに、そういわれた。
 もし私が犬なら、くぅ~ンとなくだろう。

「しかたないだろう。仕事なんだから。」

 怒った声でいうのは
 優しさからでた 後ろめたさか
 私に飽きてきた 苛立ちか

 くぅ~ン くぅ~ン 

 そんなに急いで 服を着なくても。
 まって まって まって まってて。

 そうやって自分だけ、身支度をととのえて
 ヒトを観察するようにミナイデホシイ。

「ちょっと、こっちに来て。」
 だから、何で怒っていうの?と思いつつ
 私はあなたの目の前に立つ。

「ほらぁ。エリが、おかしいよ。」
 幼いこどもにするみたいに、
 私のシャツのエリを 
 あなたは そっと直してくれる。
 あなたの声が 急にやさしい。

「どうして、だまってるの?」

 ホントに不思議そうに、あなたが聞くから
 口紅がつかないように ゆるく
 あなたの背中に手をまわして

「くぅ~ン。くぅ~ン。」と
 あなたの顔を見上げながら、声に出してないてみる。





 今日は新宿のジュンク堂書店に行きました。
  「文芸」の冬号に載っていた
  山崎ナオコーラさんの作品を、立ち読みで読破。
 19歳のオトコと39歳のオンナ。
 19歳っていうのは、ちょっとムリがあるような…。
 そんな風に思うのは、私に息子がいるからかなぁ。

 あ、それからアラーキーさんのソウルの写真集、立ち読み。
 ガチャガチャをする子供が、お母さんの大きいサンダルはいてて
 かわいかったな~。

 立ち読みばかりで怒られそう。
 ジュンク堂さん。
 ちゃんと本も買いましたよ。ちいさいの。

年上のヒト

「年上のヒト」

そのヒトはいつも笑っていた。
優しく微笑んで私を見た。
最初から。

偶然に知り合ったそのヒトは、
私よりずっと年上で
まだウラ若い私に
イロイロなことを教えてくれた。

このワインはどこどこ産で、とか
このオペラはこの場面がユウメイで、とか

私がどんなにワガママを言っても平気。
私が思いつくかぎりの意地悪をしても平気。
いつも優しく微笑みながら
ただ、じっと私を見てシカル。

このワカラズヤと、シカル。
私は、私がワカラズヤなのがうれしい。

ときどきふざけて
そのヒトを「先生」と呼ぶと
必ず、私をそっと抱き寄せてから
耳元で先生らしからぬ、イヤらしいことばをささやいた。

―こんなにアイシテル。
ほら、こんなに。

愛しあうたびに
そのヒトが
カナシイ顔をするようになったのは
一体いつからだったのだろう。

ある日、突然そのヒトは、
私の前から消えてしまった。
「卒業オメデトウ」というメールを
たった1行だけ残して。

今、思い出す。

そのヒトの瞳は大きくて、とても濃い茶色だった。
じつは微笑みながら、じっとヒトを見ることは、
じっと見ながら、さらにヒトをシカルことは、
とてもむずかしいことなのだ。

そのことに私が気がついたのは
もう誰もシカラナイほどに
私が大人になって
しまってからのことだった。

 



  今週私が借りたDVDは
  「殺人の追憶」と
  「ルールズ・オブ・アトラクション」。早くみたいな。
  読みたい本もたくさんあるので、週末が楽しみです。 



約束

  「約束」

思いは変わらないものだと
思っていました。
約束は守られるものだと
思っていました。
そうして
あなたも私も
大人にならない努力をしてきました。

まばたきを意識したのは
目をそらすためではないのです。
まばたきを意識したのは
見つめることを知ったから
今日が昨日に
たいせつなものが
取るに足りないものに
変わってしまう瞬間を
目にとめたいと思ったからです。

それでも いつのまにか
季節は変わり
あなたが いるはずの場所には
ただ かすかな残り香があるだけ

もう
聞こえるはずのない足音に
目を さましたりしないけど
まだ
あなたが なでてくれた髪を
切ることができずにいるのです。



  今日はナビスコカップなので
  はやめに更新しておきます。
  FC東京が勝つと
  飛田給まで行かないといけないので。
  いそいでいます。
  よく読み返してないので書き直すかも。
  では、いってきま~す。

  ************  

  ただいま!
  FC東京ナビスコカップ優勝!
  本当に飛田給まで行くとは思わなかった。


映画 ヴァイブレータ

  主人と子供が眠った後の
  DVD鑑賞は無上のよろこび!
  恋愛中心に書いてみたいと思います。


  「ヴァイブレータ」

この映画の主人公の女性を演じるのは、寺島しのぶ。
何かの授賞式での彼女を、
初めてテレビで見た時には、
大人だな、というのが1番の印象でした。

けれども、
この映画の中で彼女が演じるルポライターの玲は、
大人としてオンナとして
背筋を伸ばして立っていることに疲れた女性です。
摂食障害があり、アルコール依存があり、
自分自身の頭の声に悩まされています。

彼女が雪の降るコンビニで出会ったのが
トラック運転手の岡部(大森南朋)でした。
ぬくもりを求める玲を岡部はトラックの運転席に誘い、
ただ彼女を受け止める。

「あなたに触りたい」と言いながら
震えている、よく知らないオンナを、
じっと見ている時のオトコの視線。
彼女の怯えを感じ取って
「こっちにくれば」という岡部の声の優しさ。

岡部から、ぬくもりを得ることができた玲は、
仕事で新潟へ向かう彼に同行し、
追い詰められていた自分自身をも解放していくのです。

大人っぽい印象だった寺島しのぶが
とても可愛い表情をするのが意外でした。
自分の子どもっぽさをもてあます場面もイイ。
寺島しのぶも大森南朋も
その演技のうまさに引き込まれます。

オンナとして玲に感情移入しながら
オトコの弱いものをいたわる本能、
そしてその「ぬくもり」に
ジンとしてしまう映画でした。