発車べル | ひより軒・恋愛茶漬け

発車べル

雨上がりの街を駅へ向かった。


ゴールテープを切るときみたいに

前のめりになって

冷たい空気を顔で分けて駆けた。


向かい風。

足元に無数の水たまり。


はねを上げながら

自分のスピードに酔えば

おろしたてのストッキングが

どんなに汚れても気にもならない。


湿気をすった髪が

醜く広がる。

お気に入りのヘッドフォンで

頭を押さえる。


涙をすった想いが

頭からあふれても

厚みのある音で

鼓膜を麻痺させた。


  ごめんね


このスピードのわたしを

追いかけながら


  悪気はなかった


謝ってばかりいるあなたを

改札に残して

電車の中に飛びこんだ。


はやく。


はやく。


電車がホームを離れても

あなたを見ない。


雲が切れて

光が差して


見慣れた電車の窓を

明るく照らしたから

急にこわくなって


あなたが大好きだった

虹を見ないように

目を閉じる。


つり革に

ぶらさがって

旋律をなぞり

ただ前後に頭をゆらす。


誰かにうなずくみたいに。






ちょっとそれどころじゃない事情などありまして

ブログをお休みしていましたが

又、少しずつ書きはじめたいとおもいます。


元気です。


昨日

「ティファニーで朝食を」のDVDを観ました。

意外と有名なものを観ていないのです。

泣いてしまいました。