チョコレートの味見 | ひより軒・恋愛茶漬け

チョコレートの味見

ゆっくりと

あたためて溶かした

甘い液状の

チョコレートに


生クリームと

少しだけラム酒を足すと

もう

冷えてかたまるのなんか待てない。


やっぱり行儀なんか二の次。


ベッドの上のあなたを

すぐここに呼んで


いつもの

あなたの

繊細な中指で

チョコレートの味をたしかめて欲しい。


道具なんかいらない。

遠慮もなくていい。


透明なボウルの中で

あなたの先端に

どろりとまとわりつく

カカオ色のそれを


中指だけか

人差し指と中指の2本で

そっとすくい


唇の間から暗い口腔内に入れて

柔らかな舌先で

ぬぐって欲しい。


あなたは目を閉じて

わたしは目を開けて


それからそっと

お互いの指を交換して

与え合う。


単純な答えのかわりに。







今月、小説講座で角田光代さんに

読んでいただきました。

嬉しかった。


角田さんは優しい人です。

それにとても楽しい人です。


小説を書くことにはまだ慣れないけれど

もっと書いていきたいです。


誰かの心を動かすようなものを。