残暑 | ひより軒・恋愛茶漬け

残暑

愛しているふりは やめろ、と

男は、わたしを突き飛ばした。


ああ、

これからが良いところだったのに。


悪い兆候はあった。


笑わなくなったり

話さなくなったり

感じすぎたり


いつからだろう。


長い眠りの後で

からんだわたしの髪を

男が時間をかけて

櫛で梳いたりし始めたのは。


うなじ。


日に焼けた肌の中で

白い。


長い髪は

時々

男の手で束ねられ


わたしの頚動脈と

細い呼吸器官は

その目の前で

薄い皮膚に覆われているだけだ。


ふりなんてしてないよ、

そういえば

嘘つきにならない。


愛してないし、

ふりもしてない、

そこまで言えば

ただ愚かに見えるだろう。


ああ

今日こそ

アレをさせようと思ったのに。


お互いのパートナーの

名前を呼んで

秘密の場所をひとつづつ

教えあって


それなのに男は

あんなに遠くで


わたしの夢、を

ふたりの夢、なんて

言い換えて怒っている。


終わりのある暑さ。

予測できる終わり。


悲しくない。

少しは 惜しい。





体がかたいので

運動は好きだけれど

ヨガが苦手でした。


最近ジムで

バレトンをするようになって

少しヨガの動きも気持ちいいな、と

思うようになりました。


わかっていたことだけど

体の左右って歪んでいるんだなって

思ったり…。