守りたいもの | ひより軒・恋愛茶漬け

守りたいもの

初めて会った日は

遠い初夏。


あなたの好きな色は?

と、

まだ慣れない横顔に聞くと


暖かい色が好きだな

と、

彼は答えた。


赤でも

紺でもなく

グリーンでも

ブラウンでもなく


「暖かい」


その

あいまいな答えのせいで

あのとき

わたしは彼に惹かれたのだ。


こんなに近く

それ以上なにも。


ふたりの中の

それぞれの

暖かな景色を守る意思。


木漏れ日

静かな時間。


ああ

彼は本当に美しい男だった。


「美しい」


その

あいまいな言葉を

あえて使い


あなたの思う彼と

わたしの中の彼を守る。


拘束のない

自由な広がりの中で。







少し、わかりにくいかもしれません。


前から思っていることですが


あえて広義な(あいまいな)言葉をつかい

話し手と受けての中に生まれる

それぞれのイメージを楽しむ


というのは、アリなのではないか、と。


前回、2s3knyさんにコメントで

好きな言葉は?と聞かれ


「美しい」という言葉の

話し手(書き手)と聞き手(読み手)の間の

イメージの大きな開きが

逆に面白くて好き、と答えようとして

これを書きました。