嘘の効用 | ひより軒・恋愛茶漬け

嘘の効用

胸に強く

抱きしめられるとき

わたしは迷う。


あなたに見えない

こんなに近く

どんな表情も

ふさわしくなくて。


眼をとじれば

いいのかな。


さらしてる 

と思わせたら

成功で


もう

あなたは

わたしに

つけ込まれている。


嘘をつくよ。


とことん

自分を甘やかして。


傷つけても

わざと 

なんて

本当は好きで

なんて


口を閉じれば

いいのかな。


うまくもないあなたの嘘にも

素直に

だまされている嘘をつくよ。


痛々しい

と思われたら

きっと


重たい

と思われたら

きっと


わたしを

暖かすぎる

腕のなかから

放してくれるから。


他の人と同じように

お前は

手に負えないと


わたしを

そんなつまらない場所に

縛り付けたりしないから。